串本町の小型ロケット発射場からカイロスがついに打ち上がった。今年3月の初号機は発射直後、見物人にその姿を見せることもなく爆発しており、2号機が約9カ月後の再挑戦となった。

 筆者は取材のため車で現地へ。1回目の打ち上げ延期が発表されるとドッと疲れが出たが、日本の宇宙産業の新たな幕開けを告げる瞬間をこの目で見たいし、それを多くの人に伝えたいとの気持ちがあり、翌日未明、再び車を走らせた。結果はまたも延期。3日後の仕切り直しに「三度目の正直」を祈った。

 旧浦神小学校屋上の現場ではモニターに写された発射場でカイロスの足場が外されると歓声が上がり、発射7分前に、最終のGO判断が告げられると筆者も全身に鳥肌。カウントダウンは30秒前から開始され、「…3、2、1、0」の大合唱とともに期待と緊張感がピークに達した次の瞬間、山の向こうで勢いよく飛び出すカイロスの機体が見え、「ゴゴー」と大地を震わすような激しい音。ぐんぐん上昇する白い機体の勇姿をカメラで追いながら、思わず目頭が熱くなった。

 今回、カイロスは発射後3分7秒後に爆発し、衛星を軌道に投入するミッションは失敗に終わった。しかし、見物人はカイロスが初めて天空を駆ける姿を見せてくれたことに大感激。現場にいる限り、失敗は二の次だった。

 ただ、宇宙産業の発展へ世界でロケット開発が激化する中、日本の科学技術力を確立、アピールするとともに、これまで計6基の人工衛星を消失したことへの信頼回復も必要であり、スピード感を持って次の打ち上げに備えなければならない。来年こそはミッションコンプリートを期待したい。(吉)