串本町の小型ロケット発射場、スペースポート紀伊で14日、スペースワン株式会社のカイロス2号機の打ち上げが行われる予定だったが、発射十数分前に急きょ延期が伝えられた。同社は要因について「風」と説明している。相次ぐ延期や機体の爆発などを経て「今回こそは」と祈るような気持ちで見守っていた公式見学場の来場者からは大きな落胆の声が上がった半面、あきらめず次への挑戦に期待する人もいた。
ロケットの打ち上げは当初、2021年度中を予定していたが、コロナや世界情勢の影響で部品がそろわず延期を繰り返した。今年3月9日の打ち上げではカウントダウンまでしたが、急きょ延期。4日後の13日には仕切り直しで発射したが、自律安全飛行システムが作動して爆発。今回のミッションは万全を期して臨んだ。
那智勝浦町浦神の旧浦神小学校に設けられた公式見学場には約2500人が早朝から詰め掛け、打ち上げを心待ちにしていたが、今回はカウントダウンをすることもなく、延期がアナウンスされた。 高松市から来た80歳男性は「延期に愕然とした。ロケットの飛ぶ姿をこの目で見たかった」とショックな様子。両親と一緒に楽しみにしていた東大阪の三木九十九君(6)は「飛ばなくて残念。でも雰囲気はちょっと味わえたのでうれしい」と笑顔。堀順一郎那智勝浦町長は「本当に残念で、来場者に申し訳ない気持ち。しかし、確実に衛星を届けられるよう万全を期し、ぜひ次回は成功させてほしい」と話した。
会場では落胆のムードが広がりつつも、次なるチャレンジに期待を込めてみんなで「次は成功するぞ~」と拳を突き上げる場面もあった。