先日、由良町に手作りパン屋がオープンした。町内ではこれまでも既製品の菓子パンなどは購入できたが、手作りパンを提供する専門店はなく、過去をさかのぼっても「数十年以上前にあったかもしれない」との声はあったものの、少なくとも20、30年間はなかった。記事では「待望のパン屋」と紹介したが、実際に住民から要望を聞く会議などの取材で、「パン屋がほしい」という声をよく聞いており、オープン初日からの人気ぶりから期待が大きかったことを実感した。
筆者も早速訪れてみたが、焼き上がったパンが次々と売り切れている状況で、新たなパンが焼けるのを待つ人の姿もあるくらい。地域のサロンではおやつとしてふるまわれたりしており、すでに町の日常に溶け込んでいる様子だ。店主は御坊市内のパン屋で長年勤めてきた経験があり、念願の地元での店を持つことができたと言い、「地元の方々においしいパンを食べてもらって喜んでもらうのはもちろん、観光などで町を訪れる方にも楽しんでもらいたい」と意気込みを語り、地元産の素材を活かした新作パンの開発にも意欲的だ。
新しい店の登場は、単に買い物の選択肢を増やすだけでなく、地域全体の活性化にもつながるという大きな役割に加えて、観光効果も期待できる。町内には、数県をまたぐほどの遠方から訪れる人もいるという人気のカフェやハンバーガーショップ、そば屋などもあり、それぞれが町の魅力を広げる役割を果たしており、訪れる人々に新たな発見を提供している。
今回オープンしたパン屋も町の新たな名所となり、地元住民や観光客の心をつかむ人気店に成長することを期待したい。(城)