
あらすじ 15世紀前半のヨーロッパの「P王国」では、「C教」という宗教が中心となっていた。地動説は、その教義に背く考え方であり、研究するだけでも拷問を受けたり、火あぶりに処せられたりしていた。その時代を生きる主人公・ラファウは、12歳で大学に入学し神学を専攻する予定の、絵に描いたような神童。しかし、ある日、地動説を研究していたフベルトに出会ったことで地動説の美しさに魅入られ、命を賭けた地動説の研究が始まる。
この物語は、キリスト教による「天動説」が常識とされていた時代の、ポーランドをモデルとした舞台に繰り広げられる。この世界は神が作り上げた地球を中心に回っている、という常識を疑う人間は異端とされ、拷問や処刑が行われていた。地動説を研究するということは、自ら死に近づくということ。合理的に生きることを信条としていたはずのラファウが、地動説に魅せられていく。
『命を捨てても曲げられない信念があるか? 世界を敵に回しても貫きたい美学はあるか?』
そんな彼の、いや彼らの壮絶な生き様に心揺さぶられる。特に1巻ラストの展開は、驚きを越して、もはや放心ものだ。
ところで、この『チ。』という非常に独特なタイトルだが、これは大地の「地」、血液の「血」、知性や知識の「知」、ということを意味しているそう。
現在、アニメ版がネトフリなどにて絶賛放送中で、私もアニメから知った。原作の漫画版は完結済の全8巻。
あまり多くは語らない。地球を動かす瞬間を、歴史が動く瞬間を、是非ご自身で刮目して頂きたい。(之)