運営資金の悪化を理由に2年前から生徒募集が停止となっていた日高川町和佐の和歌山南陵高校に関し、管轄する静岡県は29日、運営団体の学校法人南陵学園(静岡県)に対して募集停止の措置命令を解除した。今後、同校は来年1月に入学試験を実施し、生徒の確保に向けて力を入れる。措置命令が解除されなかった場合、来春から生徒がいなくなる可能性があった。

 同校は2022年5月、資金難で教職員給与の不払いなどが発生し、職員が授業をストライキするなどの事態に発展した。同年、静岡県は南陵学園に対して生徒の募集の停止命令を出し、その後、2年間は入学生がなく、現在は3年生18人だけとなっている。

 今年4月、学校法人の新しい理事長にコンサルタント会社代表の甲斐三樹彦氏(52)=宮崎県=が就任し、再建に向けて運営体制を刷新。措置命令に対しては解除に必要な経営改善計画書などを9月末までに提出していた。

 甲斐理事長は「時間がかかったが、やっと一歩が踏み出せたという思い。これからが学校再建のスタートで、社会に貢献できる人材づくりに取り組んでいく。スポーツのほかにも防災教育などに力を入れ、地域と密着した学校づくりを目指していきたい。4月からの新入学生は定員の半分に当たる60人以上を目標に頑張ります」と話している。

 同校は学校再建の一環として全国的にも珍しいレゲエ調の新しい校歌を制作。バスケット部も部員わずか6人で全国大会に出場するなど活躍し、同校のニュースがネット上などで拡散され、他校から転校を希望する生徒らからの問い合わせも寄せられているという。