葉物野菜などを食害するハスモンヨトウ(ヨトウムシ類)が今年は全国的に多発し、日高地方でも農産物への被害がみられている。通常、気温が低下するこの時期は発生が減少するが、今年は気温が例年よりも高く推移しているために被害が長引き、収穫前のレタスが全滅したという畑もみられている。
ハスモンヨトウは農業害虫として知られる蛾で、被害を与える幼虫の大きさは3~4㌢。発生時期は4月から11月で、レタス、キャベツ、ナス、スターチス、ハクサイ、大根、トマトなどの葉を食害する。
県農作物病害虫防除所(紀の川市)によると、フェロモントラップによる先月1日から20日までの誘殺数は御坊市で平年(2508匹)の約3倍となる7664匹を確認。和歌山市でも7432匹(同1504匹)、紀の川市で1883匹(同994匹)となり、いずれも平年を大きく上回った。県内の過去10年前からのデータでは最多数となった。
日高地方でもウスイエンドウなどに大きな被害を与え、9月から10月にかけてピーク。現在は気温が下がり始めて被害が少なくなっているが、依然として農産物への食害がみられている。
御坊市湯川町財部の農業男性(54)も収穫前のレタスが被害に遭い、約5㌃の畑が全滅し、「30年以上、農業を営んでいるが、こんな大きな被害は初めて。防除用の消毒もしたのに残念です。せっかく大切に育ててきたのに大きな損害です」と嘆いていた。