外国人観光客がコロナ禍以降急激に増えている。日本政府観光局(JNTO)によると、今年9月の訪日外国人旅行者数はコロナ前の19年比26・4%増の287万2200人。1月からの累計では19年比10・1%増の約2688万人となり、すでに23年の年間訪日客数約2507万人を超えた。このペースで推移すると年間の訪日客数は19年に記録した最多の3188万2000人を上回る勢い。

 外国人にとっては日本は魅力的な国だという。日本人にとっては当たり前と感じる治安の良さ、街の清潔さ、四季を楽しめる、伝統文化、おもてなしなどがそれに当たる。筆者自身も外国人に日本がどう映っているのか動画にしたYouTubeをよく見るのだが、決まって「日本はゴミ箱がないにも関わらず清潔」「ラーメン、寿司、とんかつなどは母国で営業する日本料理店とは比較にならないほどおいしいし、値段も安い」「日本人は親切で、道に迷ったりした時は必ず助けてくれる」などという。

 しかし、それほど日本は天国のような場所なのか。先日、母親に不凍液を飲ませて殺害したとして、東京の夫婦が殺人容疑で逮捕された。夫妻の次女と夫の姉、父親への殺害容疑に続き、4回目の逮捕。次女を含め親族4人を殺害した疑いが持たれており、考えらないような凶悪な犯罪も起こった。ほかにも詐欺や窃盗などが後を絶たないし、低い経済成長や少子化などの現状から若者が未来に希望を持てないということも聞く。

 今はSNSの情報で人が動く時代になりつつある。「日本が天国のような国」と外国人観光客がアップする動画が目立つ中、情報を自分自身で疑ってみることが必要だ。(雄)