書家で詩人の相田みつをさんの言葉に、「その時の出逢いが その人の人生を根底から覆すことがある よき出逢いを」がある。この言葉のあとには、人間を根底から変えてゆくもの、人間を本当に動かしてゆくもの、それは人と人との出逢い、そのときの出逢い、と続いている。多かれ少なかれ、人は誰しも他人とかかわっていて、人生に影響を受けている。記者という仕事の楽しさの中の大きな部分を占めるのも、人との出会いである。
ただ、スマホやSNSが発展した今、どこの誰かも分からない人とのつながりが生まれ、もちろんいい面もたくさんあるが、悪事に使われるケースもある。ホワイト案件などとうたい、闇バイトに引きずり込まれる若者が後を絶たない。集合場所に集まった初対面の複数人で強盗などの犯行をさせられる、ひと昔前では考えられない犯罪が横行している。人を動かすのは人との出会いであって、恐怖や脅しであってはならない。SNSの発達で人との出会いも以前とは様変わりしているのは確かだが、相手が人であることに変わりはない。よき出会いに巡り合うためには甘い言葉に惑わされない強い心を今まで以上に持つことが求められているようにも感じる。
筆者は今月から、印南町とみなべ町を担当している。どちらの町も以前担当した経験があるが、印南町は2008年以来16年ぶり。公共施設では以前からの顔なじみの方もいるが、新しい若手の方もたくさんいて、非常に新鮮で緊張感のある毎日。SNSには精通していないので、足を使っていろんな方と話をしたいと思っている。これからどんな出会いが待っているのだろうか、楽しみで仕方がない。 (片)