御坊市立図書館で読書週間中の行事、ビブリオバトル御坊大会が開かれた。お勧め本のプレゼン合戦で、中高生5人が5冊の本を紹介してくれた◆本を読むのは好きで物心ついた頃から今まで読み続けているが、中学校3年間の読書体験は格別だった。読書部員兼図書委員で放課後は図書室に入り浸り、図書当番の日はカウンター内、そうでない日は閲覧室の机で、毎日好きなだけ読み続けた。非日常を感じさせてくれる海外物が特に好きで、「風と共に去りぬ」で南北戦争当時のアメリカ、「チボー家の人々」で第一次世界大戦当時のフランスに心を飛ばし、「カイウスはばかだ」で古代ローマのやんちゃな少年たちの活躍に胸躍らせ、「エジプト十字架の秘密」等では知的でユーモアのあるエラリー・クイーン探偵に恋した。陸上部や吹奏楽部の友人が練習の合間に遊びにくるのも楽しく、読書とおしゃべり三昧の幸せな日々だった◆今回のビブリオバトルで紹介されたのは、「世界一おもしろい国旗の本」(ロバート・フレッソン著)、「府中三億円事件を計画・実行したのは私です。」(白田著)、「トラペジウム」(高山一実著)、「怪物」(佐野晶著)、「神のダイスを見上げて」(知念実希人著庫)の5冊。どのプレゼンも聴く人の興味をひきつけるよう工夫が為されており、それ以上に対象の本への情熱、その本と発表者との幸福な関係が感じられた。中学高校時代に好きな本に向かった時の、純粋な情熱を思い出した◆本を開くことは、非日常の世界への扉を開くこと。その世界で見聞したことを情熱をもって他者に伝えることで、現実の世界も広くなっていく。来年、さらに多くの少年少女がこのバトルを通じて本との幸福な出会いを実現してくれればと思う。(里)