大人気俳優、大泉洋が日々の思いを率直につづったエッセイ集をご紹介します。表紙絵は著者が大ファンのあだち充です。
内容 本書の中で、1997年から2013年まで16年という時間が流れる。出だしでは24歳の北海道ローカルタレントだった著者は、後半では40歳の人気俳優となっている。
ひたすら旅に明け暮れる北海道テレビ「水曜どうでしょう」の裏話、著者を含め5人体制の大学時代から続く演劇ユニット「TEAM NACS」の不思議な関係性、自由でユニークで濃い大泉家の家族関係、「水曜どうでしょう」のロケに行っている間に亡くなった大好きな祖父への愛惜の思いなど、心の赴くままにつづられた一冊。軽妙な語り口の中に著者のサービス精神と情の深さが垣間見える。
私が著者を初めて知ったのは多分1990年代後半か2000年代前半、深夜バラエティ番組「パパパパPUFFY」。そしてテレビでちょこちょこ目にするようになり、本書が発売された頃の2013年公開、三谷幸喜監督「清須会議」ではっきり「すごい人だな」と認識したのでした。人懐っこくてフットワークの軽い策士である秀吉は本当にはまり役だったと思います。その後も大河ドラマで存在感を発揮。各種バラエティでもよく目にするようになりました。
本書は軽妙な書きぶりで読みやすく、思わず吹き出して笑ってしまうところも何カ所かありましたが、印象に残ったのは著者の「愛情深さ」。家族も演劇仲間も、周囲の人を全力で思っている感じが伝わってきて、笑えるのにふっと胸が熱くなる、そんな一冊になっています。 (里)