衆院選は終盤に入り、各地で激しい舌戦が繰り広げられている。保守分裂戦の和歌山2区は、参議院議員からくら替え、無所属で立候補した世耕弘成候補(61)が26年間の政治経験を生かし、幅広い層から根強い支持を得てリードを保つ。一方、劣勢が伝えられる自民党新人の二階伸康候補(46)は父俊博氏の後を継ぐ与党候補を強調、大物政治家のテコ入れで終盤にかけて猛追し、巻き返せるか。
1996年10月、県に小選挙区制が導入され、定数1となった旧3区で二階俊博氏と野田実氏が激突した保守分裂戦を彷彿とさせる因縁の対決。
世耕候補は4月の自民党離党後、頻繁に選挙区に足を運んでいたことから出遅れの影響は感じさせず、10月5日の出馬表明から一気に選挙モードに。経済産業大臣や自民党参院幹事長の経験を武器に、故安倍晋三氏との深い絆もアピール。大物政治家らの応援はないが、党を離党したあとも自民支持層はじめ幅広い人気を得ており、紀北筋でも優位に立つ。終盤に向け危機感を持って陣営を引き締め、ラストスパートをかける。
父俊博氏の地盤を引き継ぐ二階候補は5月に立候補を表明し、知名度アップへ奔走。県町村会や各種団体の推薦、市町村長や議会議員の支援を受けて組織的に先行した。地元御坊市や大票田の田辺市では市長や議員のバックアップで集票、同世代の若者層への支持も広げているが、世耕候補の出馬表明後は追う展開に。石破茂首相や森山裕党幹事長らが続々と2区入りして応援演説し、陣営では逆転勝利へ票の上積みに必死だ。
他の3候補は自民党批判票などが分散。立憲民主党新人の新古祐子候補(52)は自民党の政治資金問題を批判し、政権交代を狙う野党第1党としての追い風で一定の支持。共産党新人の楠本文郎候補(70)は今年2月、いち早く立候補を表明し、御坊市議9期、県議1期の経験で共産票のほか、保守票の一部にも食い込む。諸派新人の高橋秀彰候補(42)は政権批判を展開して県内沿岸部を一巡し、SNSの配信で全国の同志からの支援もある。