警察官や消防士など危険性の高い業務に精励した人を対象とする危険業務従事者叙勲(11月3日発令)の受章者が発表された。県関係は31人、うち日高地方からは警察功労で元県警部の田端恭司氏(74)=日高町荊木=が瑞宝双光章、元県警視の城山博氏(73)=同町小浦=が瑞宝単光章を受章。11月中旬から12月上旬にかけて各省庁や県で伝達、拝謁が行われる。
第43回危険業務従事者叙勲。県内の内訳は警察庁関係が22人、消防庁関係が7人、防衛省、法務省関係が各1人で、19人が瑞宝双光章、12人が瑞宝単光章を受章する。
田端さんは高校を卒業し、民間企業で働いたあと1970年8月に採用され、振り出しの湯浅署から2011年3月末に御坊署を最後に退職するまで、40年余りにわたり活躍。ほとんどを地域課で過ごし、パトカーや駐在所勤務で、地域の安全安心を守ってきた。御坊署では稲原と由良の駐在所に勤務。「住民に嫌われないように」を心がけ、信頼関係を築くことで、地域の犯罪抑止や事故防止に努めた。
思い出の一つは指名手配犯の逮捕。白浜署員のころ、交通違反の車を止めて運転手を照会したところ、その男が殺人容疑で指名手配されていた暴力団員だった。白浜署時代には白浜青少年(補導)センター派遣の経験もあり、退官し、薗交番相談員の後、御坊広域青少年補導センターの補導主事を今年春まで務め、青少年の非行防止や健全育成に尽力。「官舎や駐在所を転々とし、家族に迷惑をかけた」と振り返り、受章に「大そうな仕事はしていません。上司や先輩、同僚、家族に支えられ、無事に退官できたことが一番よかったこと。皆さんに感謝です」と話している。
城山さんは1976年4月に県警察官に採用され、2009年に退職するまで33年間にわたって地域の治安維持に貢献した。
大学を卒業後、東京の民間企業で3年間サラリーマンを経験したが、ふるさとで地域のためになることがしたいと警察官を志して帰郷した。
湯浅署を振り出しに串本、新宮、岩出署、警察本部などのほか、最も長かったのは通算8年間在籍した本部鑑識課。昼夜や地域を問わず、事件事故が発生すると現場に駆け付け、遺留品など犯人につながる手がかりを追い、地を這って捜査に力を注いだ。地域、交通、刑事、生活安全などあらゆる部門を渡り歩き、思い出は数えきれないが、その時々の目標をやり遂げたときの達成感や住民に感謝された時の喜びにやりがいを感じたという。「常に緊張感が張り詰めていましたが、その分充実した日々でした」と振り返る。当時に比べて今は事件事故とも大幅に減少しているのが嬉しいとし、受章に「同僚、先輩、後輩、家族に助けられて務めることができた。感謝の気持ちでいっぱいです」と話した。