秋の運動会シーズン到来。小学校の前を通ると、グラウンドには子どもたちの元気なかけ声が響き、こっちまで元気をもらえる気分になる。
運動会といえば、バックに流れる音楽がつきもの。その時代の流行歌が用いられ、子どもたちの士気を上げる。特にリレーは運動会のクライマックスも相まって、大いに盛り上がる。最近はドラマのサウンドトラックも使われ、ある学校では下町ロケットのメインテーマが流れていた。
運動会の始まりと終わりに、歌をうたった覚えがある。全部の歌詞を紹介するのは難しいのでできないが、「緑の風に朝を呼ぶ~」というフレーズから始まる歌。待ちに待った運動会の日を楽しむぞというような、希望に満ち溢れた内容で、「運動会の歌」というタイトルだったと思う。どうやらこの歌は、和歌山県内でしかうたわれていないらしい。
インターネットで検索してみると、この歌について調べている人が結構いた。それによると、この歌は紀州大水害が発生した1953年の3年後、災害にもめげずに前を向いて頑張っていこうじゃないかと、子どもたちを元気づけるため、和歌山市の小学校教員によって作られた。
自分も小学生のころ、当たり前にうたっていたので、全国でも当たり前にうたわれていると思っていたが、和歌山独特の文化だったとは。しかも大災害がきっかけだったとは思いもしなかった。こうして70年近くうたい継がれているのは誇らしい文化。これからも大切に受け継がれていってほしいと感じる。
地方独特の文化には過去の出来事が関係していることもある。過去を受け止め、後世に伝えていく大切さを改めて知った気がする。(鞘)