日高地方は1年で最もにぎわう時期、秋祭りシーズン真っただ中である。トップを切る印南祭、日高地方最大の御坊祭は終わったが、今週末、来週末は各地で多くの祭礼が予定されており、まさにピークとなっていく。50歳目前の筆者は今年も印南祭に参加してきた。先輩や後輩の子ども世代が20歳前後の年となり、大きな戦力として屋台の担ぎ手を担ってくれた。まだまだ少ないとはいえ、世代交代を肌で感じることもでき、こうやって祭りが続いていくんだと実感することができた。
平日にもかかわらず、県外の大学や企業に勤めていても、祭りのために帰ってきてくれるのは本当にうれしい。それだけ祭りに魅力がある証であり、この地域ならでは、祭り好きのDNAもしっかり受け継がれているということだろう。物心ついたときから祭りに参加しているので、客観的に印南祭を見物したことがないから分からないが、特に川渡りを見た人によくいわれるのは「みんなすごくいい顔していて、本当に楽しそう」と。重たい屋台を担いでしんどいはずなのに、楽しいのはなぜなのだろう。
明るいうちから堂々と酒が飲める、大きなかけ声を出して気持ちがいい、小さいころからの顔なじみが集まって気を遣うことがない、ぱっと思い浮かぶだけでも楽しいことばかりだが、小学生からお年寄りまで世代に関係なく一緒になって騒げるのが魅力の一つだろうか。祭りがなければ接点がないような世代ともつながれるのは、古き良き時代に通じるものがある。普段はスマホばかり触っていても、毎年この時期くらいは祭りを通じて世代を超えた、古き良き人とのつながりを楽しんでほしい。(片)