県の新総合計画策定に向け、岸本周平知事が7日、田辺市役所で紀南エリアの17市町村長と懇談した。同計画の中間報告によると、県の人口減少はかつて経験したことのないスピードで進行する見通しとなっており、首長からは「人口減少に少しでもあらがう政策を」などと、さまざまな意見や要望、アイデアが出された。
新総合計画は2040年ごろを展望した県政の新たな指針で、県民や首長の意見を取り入れながら来年9月までに原案をまとめ、県議会に提案する。計画の中間報告では人口減少について今後30年の減少スピードがこれまでの2倍に加速し、2050年には約63万人まで減少を予想している。
懇談会では人口減少について議論が集中。真砂充敏田辺市長が「減少傾向に歯止めはかからないが、少しでもあらがう具体的なものを考える必要がある」とし、大学生らの学びのフィールドとして紀南エリアを提供し、関係人口を増やす取り組みを提案した。
三浦源吾御坊市長は「結婚したい人は多いが、出会いの場が少ないのがハードルになっている。県は婚活支援をやめたが、それに代わる案を考えるべき」。籔内美和子美浜町長は「産科、小児科の医師が少なく、安心して子を産み育てる環境へ県の支援を」と要望した。
岸本知事は「人口が減るのは仕方がないが、何とかできないか、やれることは全部やる。いいアイデアがあれば計画に盛り込みたい」とし、今後、人口減少の中でも行政サービスを維持できるよう、現在2層構造となっている県と市町村の職員の業務を一部共同することを検討していくとした。