経済産業省と国土交通省は27日、海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律に基づき、和歌山県沖の2区域を新たに「準備区域」として整理、公表した。洋上風力発電の実施に向けて国が進める手続きの最初のステップ。現在、御坊市などの沖合では2事業所が風力発電事業を計画しており、推進に拍車がかかりそうだ。

 洋上風力発電事業の実施には事業者が進める環境アセスメントと、再エネ海域利用法に基づく国の手続きの2つのハードルがある。再エネ海域利用法では国が都道府県からの情報提供を受けて準備区域、有望区域とする段階を経て経済産業省、国土交通省の両大臣が促進区域として指定したあと、事業者を公募。両大臣の区域占有許可、再エネ特措法認定が出れば事業者が建設に着手できる。今回の準備区域は有望区域の要件を満たさないものの、都道府県として今後協議会を設置して具体的な協議を行うことを念頭に、利害関係者らとの調整に着手している区域としている。

 御坊市沖では2事業者がすでに風力発電事業の環境アセスメントに取り掛かっている。一方、県は風力発電事業の適地とされる県沖(東側)と県沖(西側・浮体)の2区域について国に情報提供していた。県成長産業推進課は「わかやま成長産業開拓ビジョンで洋上風力発電は有力な候補。導入の検討に向けてスタートラインに立った」と話している。

 経済産業省などは和歌山県沖の2区域とともに秋田県秋田市沖の1区域も新たに準備区域として整理。全国の促進区域は長崎県五島市沖など10カ所、有望区域は北海道石狩市沖など9カ所、準備区域は11カ所となった。