現職小谷芳正氏の死去に伴うみなべ町長選、任期満了に伴う同町議選のダブル選挙は、5日間の舌戦もいよいよきょう限り。新人同士一騎打ちの町長選は、山本秀平候補(32)=晩稲=が今年4月に出馬を表明して先行したが、小谷氏の死去を受けて告示約1カ月前に急きょ名乗りを上げた早川正志候補(72)=東吉田=が猛追。両陣営とも連日の街頭演説等で手ごたえを感じつつも危機感を前面に、最終コーナーを激しく競り合う展開となっている。 (記事は届け出順)

 山本候補は町議在職中に町長選出馬を決意、4月24日付で町議を辞職し、翌日に出馬表明した。約1カ月前に現職小谷氏が出馬表明していたことから、各地区でミニ集会や毎朝の辻立ちを行うなど、知名度アップを図ってきた。

 当初は現職と山本候補、さらに会社員の新人男性も名乗りを上げて一時は三つ巴の戦いになるとみられたが、8月7日に小谷氏が死去したことで状況は一変。小谷氏の後援会など周囲から要請を受けた早川候補が同月26日に出馬を表明。25日までに会社員男性は出馬を辞退した。早川候補は今月24日の告示日まで急ピッチで準備を進めてきた。

 2人の出身地は早川候補が旧南部町の北道、山本候補が旧南部川村の晩稲だが、合併から20年が経過したいまは旧町村の対抗意識は感じられない。

 早川陣営は、小谷氏後援会メンバーや北道区の応援を受けながら候補者本人が告示までに町内地区を歩き、告示後は26日までに町内5カ所で街頭演説を行い、26日には埴田区、27日午前には晩稲区でそれぞれ約100人が集まり、防災力の強化や地域医療の充実などの政策、民間企業で培った計画策定・実現などの実行力をアピールした。


 畑﨑周定後援会長は「日々着実に支持を集めている手応えはある」と自信をみせるも、それが陣営、支持者の緩みにつながることを警戒。早川候補は「自分の考えを訴え、残り期間全力を尽くします」と気を引き締める。

 山本陣営は、30~40代の青年部員を中心に約30人で選挙戦を展開しており、梅農家である山本候補の仕事仲間や会社員の同級生が有休を取って応援に駆け付け、SNSも活用してまちへの思いを発信している。地元晩稲区の応援や町建設業協同組合の推薦を受け、告示後は住宅や事業所が多い交差点などで街頭演説を行い、人口減少や防災対策、梅産業・観光振興などの政策を訴えている。

 竹中由郎後援会長は「順調に支持が広がっている」と胸を張る。山本候補は「とにかく自分の思いを少しでも多くの方に聞いてもらいたい」とスパートをかける。

 早くから動いて先行する山本候補を早川候補がとらえ、一気に抜き去るか。本紙の有権者アンケートでは、投票先を「まだ決めていない」人の割合が全体の54%を占めており、浮動票の行方で結果が大きく変わる可能性もある。

 期日前投票 26日は871人が投票を済ませた。前日の711人に比べ、160人増加した。