現職小谷芳正町長死去に伴うみなべ町長選、任期満了に伴うみなべ町議選のダブル選挙が24日告示され、町長選は会社役員の新人早川正志氏(72)=東吉田=、元町議の新人山本秀平氏(32)=晩稲=が立候補。29日の投開票へ、一騎打ちの舌戦がスタートした。早川氏は防災、産業、働き方改革などを主としたまちづくり、山本氏は10年先を見据えたまちづくりを掲げ、秋空の下、両候補が力強く第一声を放った。

 早川陣営は南道の選挙事務所で出陣式を行い、支持者200人(主催者発表)が集まった。
 畑﨑周定後援会長は「大変厳しい選挙戦になると思うが、みなべ町のさらなる発展を築くのは早川氏以外にいないと確信している。皆様の力で町長に押し上げていただきたい。ご支援よろしくお願い申し上げます」とあいさつ。世耕弘成参院議員も駆けつけ、「早川氏とは以前から旧知の仲で、会社経営、南部高校野球部監督での教育指導など経験豊富。人柄も素晴らしい早川氏には小谷町長の後を引き継いでみなべ町を引っ張っていってほしい。私も国政の場からサポートしたい」と支援を誓った。

 早川候補は「安心・安全・健康のまち」を掲げ、主な公約として▽災害時の避難路の確保と山間部の道路寸断による孤立解消▽長期総合計画に記された産業(梅、漁業、観光、商業)活性化の継承と見直し▽医師が高齢化している地域医療の対策として、県立医科大学等と連携し若手医師を確保▽30~40代の子育て世代が安心して仕事と育児を両立できる働き方の改革――の4つを主張。「職員の皆さんと助け合って、実現していきたい」と熱く語った。

 最後に「一緒に選挙戦を戦っているチーム早川、支援していただいている皆さんから思いやりのある言葉をたくさんもらい、これが一番の宝物だと痛感している。これを胸に一から頑張ります」と力強く決意。ガンバローコールで必勝を期し、街宣に繰り出した。

 山本陣営の出陣式は晩稲地内の南部梅林駐車場で行われ、約350人(主催者発表)が集まった。
 竹中由郎後援会長は「フットワークが軽く、人の話を聞ける、人の悪口を言わない、若さあふれる山本君に託してほしい」などと支援を呼びかけた。大江康弘白浜町長、義父で印南町議会の前田憲男副議長も団結を求めた。

 山本氏は20年前のみなべ町合併時は約1万5000人だった人口が20年後には8000人にまで減ると予測され、さらに高齢化率が4割を超えることに危機感を強く持ち、「こんな状況が続けば魅力や豊かさがなくなってしまう。それだけは止めなくてはならないという思いで立候補を決意した。『まだまだ若い』『あと4年待ったらどうな』、そんな声をたくさんいただいたが、10年後の未来を見据えたとき、いますぐ取り掛かりたかった。厳しい戦いと分かっていても挑戦したいと決断した」とあらためて決意を表明。4月の出馬表明以降、住民との対話を大切に活動してきたとし、「みなべ町の魅力の根幹には町民のまちへの思い、まちへの愛があると感じた。この思いを町政に生かしていく」と強調した。

 町内の医療体制や子育て環境の充実、防災対策、梅産業の振興などそれぞれの具体策を示したうえで、「私が実現したいことはただ一つ、先輩方がつくり守ってくれたこの魅力ある豊かなみなべ町を次の世代にもつなげていくこと。みなべの未来を一緒につくっていこう」と声を張り上げた。