御坊市の医療法人整形外科北裏病院は、変形性膝関節症の治療法の一つである末梢神経ラジオ波焼灼療法の新設備「Coolief(クーリーフ)」を県内で初導入した。体への負担を少なく、痛みを軽減できるのが特徴で、地域医療の一層の充実につながると期待されている。
変形性膝関節症は、膝のクッションとして働いている関節軟骨がすり減り、骨や軟骨が変形し、擦れて痛みや腫れを生じる病気。特に高齢者に多く、全国で1000万人が発症、予備軍を含めると3000万人ともいわれており、同病院でも患者が多い。
治療法はこれまで「手術」か、ヒアルロン酸注射などの薬物療法とリハビリなどの非薬物療法の総称である「保存治療」だったが、ラジオ波治療は手術と保存治療の間に位置付される新しい治療法として1年ほど前から東京や大阪の病院で始まっていた。今年6月から保険適用され、痛みに悩む多くの患者の新たな選択肢になればと、同院が導入した。
局所麻酔し、専用の針を刺して痛みを感じる神経に直接熱を与え、痛みを遮断する治療で、データでは痛みの7~8割の軽減が期待できる。持続期間は約2年とされている。持病などさまざまな要因で手術が受けられない人には特に貴重な選択肢となる。同病院では一日入院で治療でき、12日には1例目の治療を行い、経過は順調という。
北裏卓也院長(38)は「手術したくてもできなかった人の新しい選択肢になれば。どんなことでも気軽に相談してください」と話している。