野生鳥獣による農作物被害が全国的に増加する中、日高地方でも被害は後を絶たず、農家からは「今年もサルに稲穂を食べられた」などという声が各地で聞かれる。この時期、サルは集団で稲刈り前の田んぼに入り、実った稲穂をむしって食べるという。
日高川町船津の兼業農家間野実さん(50)も、中津小学校西約300㍍にある約6㌃の田んぼが被害を受け、約3分の1の稲穂がむしり取られた。8月の盆過ぎごろから数回にわたってサルが田んぼに入ったとみられ、「電柵で田んぼを囲っていたが、カズラなどの雑草が柵に巻きついて放電し、電気が通っていなかった可能性がある。サルは頭がよくて対策が難しい」とがっかり。町によると時期によってサルの捕獲頭数にばらつきがあるが、今年の7月と8月の2カ月間は93頭で、昨年同期の31頭から3倍に増えている。今後は収穫前の温州ミカンなどの被害が心配されている。
各自治体もわなによる捕獲、地域住民らによるパトロール、花火による追い払いなどの対策を行っているが、農作物への被害は後を絶たず、住民からは「サルが人里まで入ってきている。車を運転していると、道路沿いなどで普通に見かけることが多くなった」という声が聞かれている。