ビニールハウスでスターチスの状態をチェックし、収穫する中西さん夫妻

 御坊市名田町野島の農業中西敏郎さん(63)のビニールハウスでスターチスの収穫が始まり、秋の彼岸(19日から)を前に、近くJA紀州を通じて関西や関東に出荷される。通常の時期より約1カ月早い出荷で、夏場の温度管理などが難しいため、早期出荷を手掛ける農家はほとんどないが、日本一の花の里からひと足早くスターチスの魅力を届けるために張り切っている。

 中西さんは亡き父貞夫さんから引き継いで30代で農業に従事。現在はスターチスのサンデーバイオレットの品種を主力に栽培している。

 スターチスの早期出荷は十数年前、ビニールハウス内にヒートポンプを導入するにあたり、冷房機能も付いていたため、何とか生かす方法はないかと考え、夏の暑い時期に栽培する早期出荷に取り組みを始めた。温度管理やハウス内に病原菌を持ち込まないための消毒の徹底など、試行錯誤を繰り返し、安定生産にこぎつけた。

 今年も盆前に苗を定植し、酷暑、残暑も乗り越えて品質は上々。中西さんは「スターチスのよさを伝えるため、少しでもお役に立てるよう、今年も頑張っています」と話している。

 御坊市はスターチスの生産量が日本一となっており、毎年10月下旬から翌年6月中旬まで出荷が続く。春の彼岸が年間最大の需要期。北海道にも産地があるが、温度差などから出荷時期が御坊とずれているという。