ユーモアを交えて自身が行ってきた地方活性化への取り組みを紹介する藤本さん

 日高地方の地域活性化イベント、「御坊日高博覧会」=通称御博(おんぱく)=を運営する「NAVEL(ネイヴル)」(谷口光代表)が主催の「持続可能な地域づくり勉強会」第2弾が10日、御坊市役所多目的ホールで開かれ、編集者で有限会社りす代表の藤本智士さんが「ビジョンをカタチにする編集のチカラ」で講演した。

 おんぱくの来年10周年へ向け、さまざまな分野の講師を招いた勉強会を開いて、地域づくりの参考にする第2回。

 藤本さんは1974年、兵庫県生まれ。日本中を旅しながら、地方創生がいわれるずっと前から著書や講演を通じて地方の魅力を発信する活動を続けている。

 今回は、秋田県の広報誌「のんびり」を4年間担当したときの取り組みを紹介。秋田では木版画家池田修三の作品が多くの家の中に飾られ、絵は知っているが、作者が誰か知らない人がほとんどという現状から、「こんな素敵な作品を残した池田修三を秋田の誇りにしたい」と特集記事を掲載。自宅の作品を見えるところに飾ってもらう「まちが美術館」を開催したり、作品を車に乗せて全国を回って池田修三展覧会を開くなど地道なPR活動を展開した。誰も知らなかった池田修三が数年後にはラッピング列車やタクシーが走り、10年後には空港に「池田修三のふるさと秋田へようこそ」の看板が掲げられるようになった。

 「これが編集のチカラ。特集記事ができたら終わりじゃなく、そこからがスタート。こんなにしたいという目標を持つとそこに向かって頑張れる」と強調。「地域作りは、風の人(県外の人)と土の人(地元の人)が一緒に取り組むことで風土になる。民間の人と役所の人にもそれぞれ役割がある。互いにリスペクトしあって、風と土が本気で取り組むことが大切」とアドバイスした。