発掘調査中の大芝遺跡(日高川町佐井)

 現場は佐井橋北詰から日高川に沿って上流約300㍍の右岸側。1953年の紀州大水害で被害を受けた田んぼの復旧作業中、縄文時代の石器や土器が発見されていた場所で、その後に大芝遺跡と命名された。

 調査は今年5月からスタート。調査面積約1万平方㍍を4つの区画に分けて実施。第1区(約2000平方㍍)が完了し、現在は第2区間(2000平方㍍)を発掘している。第1区は日高川に近く過去からの洪水の影響を受けているため遺跡の残存状態が悪く、大半の出土品は第2区から見つかっている。第3区(約1000平方㍍)、第4区(約5000平方㍍)に関しては今後に調査し、12月末までに終了させる予定。

 これまでの調査で縄文時代の石斧や矢じり、剥片(はくへん)などの石器、食べ物の煮炊きや物を入れる容器として使ったと考えられる深鉢や浅鉢などの土器が出土した。ゴミを集めて捨てたとみられる穴、木の実などを入れた貯蔵穴なども発見された。今のところ、当時の人々が住み家とした竪穴式住居跡は見つかっていないが、今後の周辺調査で見つかる可能性が高いという。ほか、奈良時代から平安時代にかけての製塩土器も発見され、海岸部との交流があったとみられる。

 県文化財センターは12月に現地説明会を予定している。