近い将来大地震が発生すると言われるようになって、もう何十年か経っただろう。幸い当地方やその周辺に大地震はきておらず、依然として自治体や地域の自主防災組織などを中心に、高い災害意識を持って対策に取り組んでいる。災害対策については地域での取り組みも必要だが、まずは自分や家族を守る「自助」が基本となる。備蓄や家族との連絡方法の確認、家具の転倒防止など、すべきことはたくさんある。
先月、宮崎県で震度6弱を観測した日向灘を震源とする地震で、気象庁が南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)を初めて発表したが、東大大学院情報学環総合防災情報研究センターの調査によると、大きな揺れが想定される地域に住む住民の8割が認知したが、うち2割は特段の行動を取らなかったことがわかった。調査はインターネットで行われ9400人が回答し、臨時情報が発表された「防災対策推進地域」を含む28府県5600人のうち、83%が臨時情報のことを知っていたが、21%が何も行動しなかったとのことだ。緊急地震速報や津波警報など地震・津波の危機を知らせるものは多く、マンネリ化していることも理由にあるのだろうか。それでもスーパーなどから水が売り切れるなど、臨時情報をきっかけに備蓄などをはじめとする地震対策に行動した人も多いだろう。
あの臨時情報から1カ月。気象庁は6日、「想定震源域で特段の変化を示すような地震活動や地殻変動は観測されていない」とする分析結果を公表しており、とりあえずは安心だ。今回の臨時情報、注意喚起という意味では一定の効果はあっただろうが、観光面への影響やマンネリ化など今後の課題となりそうだ。(城)