日本の人口減少は、とどまる気配がない。2055年には総人口が1億人を割るという推計も出ている。少子化によって人口が減るのはもちろん、高齢者が若い世代より圧倒的に多いというバランスの悪さは経済にも大きな影響を与えている。人手不足はここ10年来ずっと言われており、子どもが少ないということは将来大人になって働く人が少ないということなので、この問題は今後ますます深刻になっていく。定年年齢が上がり、高齢者も貴重な労働力とならなければ立ちいかなくなる企業も増えてくるだろう。

 これが日本の現状なのだから、祭りの人手不足もうなづける。筆者のふるさと、印南町印南では、印南祭へ向けて各地区でならしが始まっている。祭りの練習から準備、本番の段取りを担う青年団の若者が少なくなっているのは日高地方のどの祭りにも共通する課題。太鼓や獅子舞、四つ太鼓なら乗り子を引き受けてくれる子どもを探すのも一苦労だろう。昔から祭りが盛んな地域だからこそまだ存続できているのではと思えるほど、担い手は少なくなっているのを肌で感じる。

 祭り屋台や四つ太鼓を担う大人も当然、人が余っているなんて地区はあまりないだろう。数十年前なら賑わいとして参加していた50代、60代もまだまだ現役、そんな地区も増えているのではないか。事業を存続する企業と同じように、年を取っても貴重な戦力として参加しなければ屋台や四つ太鼓が上がらない、そんな声が聞こえてくる。筆者も50歳目前、同世代の皆さん、それ以上の方々も、祭りに参加して存続に少しでも貢献できるように、若者にまじって盛り上がろうではありませんか。(片)