「ダブルスタンダード」という言葉をよく見聞きする。物事によって判断基準を使い分け、状況や相手によって矛盾した言動となることを指すが、誹謗中傷が飛び交うSNS社会となり、実態がよく見えるようになったのだろう。

 バイデン大統領はウクライナに大量の武器を送る一方、パレスチナ難民を巻き込む無差別攻撃を繰り返すイスラエルを支え、プーチン大統領はおのれの侵略を棚に上げ、イスラエルを支援する米欧を批判している。

 当事者のイスラエルとハマスは、国連によるガザの子どものポリオ接種を受け入れ、人道的な見地から戦闘を一時休止したという。しかし、イスラエルは対象区域外では空爆を継続しており、いったいどの口が人道的などというのか。

 ポリオが発生したガザでワクチン接種が必要なのは間違いないが、今回数日間の戦闘休止(休戦)であり、両当事者が交渉のうえ合意した停戦ではない。ここは米国が強く出るべきだろうが、おのれの選挙を控えてバランスに苦悩している。

 こうした西側先進国の矛盾は、アフリカ諸国などいわゆる「グローバルサウス」と呼ばれる国々からはすっかり見透かされている。「法の支配」「自由と民主主義」「自由で開かれた国際社会」が聞いてあきれると。

 日本は79年前の敗戦からこれまで、ASEAN(東南アジア諸国連合)各国とは良好な関係を築いてきたが、中ロの脅威と緊張が高まるなか、今後、他のG7加盟国との協調を維持しつつ、ASEANとの信頼を強化し、ともに経済成長していけるか。

 候補乱立様相の自民党総裁選。ダブスタの闇の国際社会で日本と国民を守れるリーダーを選びたい。    (静)