日高川町三十井川地内で民間運営のチョウザメ養殖が5年目を迎え、秋から魚肉として初めて出荷される。チョウザメが卵を持つまでには8年程度かかり、メーンとなる高級食材のキャビアの出荷は4年程度先となる。全国的にも珍しい取り組みで、事業者は「将来的にはチョウザメの稚魚をふ化させることも目指していきたい」と話している。
事業に取り組んでいるのは三十井川の谷久保浩二さん(50)と船津の清水達成さん(61)の2人。養殖場は谷久保さんの自宅近くにあり、コンクリートの水槽を5つ設置し、近くの三十井川から水を引き入れている。県内では他にチョウザメ養殖は近畿大学だけだという。
5年前、谷久保さんがコンクリートの水槽でコイを飼育していたのを見た清水さんが、「チョウザメを飼ってみてはどうか」と提案したのがきっかけ。最初の年は200匹の稚魚を業者から仕入れ、本当に育てることができるかを試験的に実施。その後は毎年、1000匹から2000匹程度の稚魚(体長10㌢程度)を仕入れ、今年も7月に2000匹を購入した。現在は4、5年前から養殖しているチョウザメ約300匹が1㍍近くまでに成長。秋には腹を切ってオスとメスを判別し、オスは卵(キャビア)を採取できないため、魚肉用として出荷するという。
谷久保さんは「メーンのキャビア出荷まではあと4年ぐらいかかりそうだが、ようやく魚肉出荷までにこぎつけることができた。今後は水槽を増やし、稚魚のふ化にも取り組みたい」と話している。