日本時間29日未明に開幕した第17回夏季パラリンピック・パリ大会のブラインドサッカー競技に、由良町里出身の村上重雄さん(41)=兵庫県=が男子日本代表のコーチとして帯同している。学生時代のボランティア活動をきっかけに同競技に携わるようになり、今大会では「初のメダル獲得を目指す」と意気込みを見せる。男子日本代表の第1試合は日本時間9月1日午後6時半から。
ブラインドサッカーは視覚障害者らがプレーするサッカーで、フィールドプレーヤー4人はアイマスクを着用し、音の鳴るボールを使って監督やゴール位置を教える「ガイド」の声を聞きながらプレーする。ゴールキーパーは健常者(弱視者含む)が務める。1980年代にヨーロッパで生まれ、日本には2001年に国際ルールが導入された。
村上さんは由良小学校、由良港中学校、御坊商工高、大阪の履正社スポーツ専門学校を卒業。高校時代にサッカーを始め、専門学校時代にブラインドサッカーのボランティアに参加したことから興味を持つようになった。卒業後は、障害者福祉の仕事などを経てNPO法人日本ブラインドサッカー協会の職員となり、競技の普及や選手(ゴールキーパー)として活躍し、黎明期の同競技の発展に貢献してきた。
選手としては2002年から7年まで日本代表男子のキーパー、指導者としては17年から21年まで女子日本代表の監督を務め、17年には国際大会で優勝に導いた実績がある。パラリンピックは自身初の参加で、「コーチとして、選手が新たな気づきや発見が得られ、常にプレーする楽しさを持てる指導を心がけたい。大会ではメダルの獲得とともに、視覚障がいのある選手と障がいのない私たちが力を合わせて戦い、支え合う姿を通じて、誰もが当たり前に混ざり合える共生社会の実現に貢献したい」と述べ、「多くの方に競技を知っていただき、応援していただけるとうれしいです」と呼びかけている。
日本男子代表はコロンビア、モロッコ、アルゼンチンがいるグループBで予選リーグを戦い、上位2位までが5日から始まる準決勝に進出できる。