修繕されて島会館に戻ってきた、牡丹と唐獅子が描かれた傘鉾を手に総代の細川さん

 日高地方最大の秋祭りとして知られる御坊祭の島組は、昔使っていた傘鉾(かさぼこ)の傘幕を修繕し、約55年ぶりに今年の秋祭りに参加することになった。

 関係者によると、傘鉾などの祭具は当時、島東正会の会場で保管され、1981年に新築された島会館に移されたとみられるが、地元でもはっきりしたことは分からなくなっていた。組ではコロナ禍を経て少しでも地域が元気になるよう祭りに再び参加することにし、ダメ元で昔の祭具が残っていないかを調べたところ、島会館の階段下の倉庫奥に置いていた金属製の箱に傘幕が保管されているのを発見。同時に太鼓や獅子頭なども見つかった。

 島組の傘幕は直径約140㌢、高さ約70㌢。珍しいシルクの生地に唐獅子と牡丹の絵が描かれ、島組の文字が入っている。直径は寸尺単位にすると「4尺6寸5分」あり、地域住民の幸せを願って「よろこぶ」の語呂合わせにしたとみられている。修繕は今年4月上旬から京都の専門業者で行われ、今月12日に島会館に届けられた。破れた部分を直してしわを伸ばすなど昔の風合いをそのまま残しており、傘幕を支える竹の枠やヒノキの心木は新調した。島組では5反幟も新調しており、傘鉾とともに総代や行司、若中が5日の本祭りのお渡りなどに参加する。

 島組総代で東正会会長でもある細川幸三さんは「市教委の協力で文化庁の補助金をいただき修繕できたことを大変うれしく思います。これを機会に祭りに参加して、地域活性化につながれば」と話している。傘鉾は今週いっぱいまで島会館で飾り、その後祭り本番まで保管しておく。