日高地方のスーパーでも米が品薄になっている。パン食が増えたといっても日本人の主食は米。ないといわれると余計に食べたくなるのだから不思議だ。なぜ米がないのか。昨年の猛暑と水不足で作柄が悪かったとか、コロナが明けてインバウンドの米需要が増えたとかいわれている。そしてもう一つ、この時期の米不足は先の南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)で消費者が買いだめしたことも大きいのではないだろうか。水をはじめとする食料の買いだめ、ガソリンスタンドの行列、何も悪いことではない、自然災害への備えの一つで、人々の意識の高さの表れでもある。
令和の米騒動はもうすぐ新米が出回る時期なのでじきに落ち着くとして、災害への備えは今一度点検や見直しをしておきたい。食料の備蓄も大事だが、当地方では津波からの避難が最優先事項で、やはり逃げ切るための備えが最も重要。逃げ切る備えとは、どこにいてもより高い場所へ逃げるために備えることで、最低でも自宅にいるとき、職場や学校にいるときはどのようなルートでどこに逃げるのか、確実にシミュレーションと実践をしておきたい。
町が整備している高台の避難場所には東屋や簡単な遊具などを設置し、普段から人が集まるようにしておくことで、避難が日常の延長になれるのではないか。いざという時スムーズに行動できるようにするには、日常生活との連動がポイントだろう。避難場所に普段からしょっちゅう集まるような仕掛けや工夫をすることが、備えの一つになるのではないか。9月1日は防災の日。日高地方の影響が出そうな台風10号も含めて災害への備えとは何か、今一度考えてみたい。(片)