今回紹介するのは雨穴の「変な絵」。雨穴は日本のウェブライター、ホラー作家、ユーチューバーで、本名、素顔などが非公開の覆面作家。2021年のヒット作「変な家」の第2弾の作品となる。

 ストーリーは、「変な絵」のタイトル通り、さまざまな絵が紹介されていく。第1章では、大学生の佐々木が後輩から教えられたブログ「七篠レン、心の日記」に掲載された5枚の絵から始まる。妊娠中の妻が赤ん坊や少年など5枚の絵を描いており、最後のブログには「一番愛する人へ」と題し、「3枚の絵の謎を解いた」「罪」「許すことはできない」「それでも愛し続けている」など意味深な言葉が綴られていた。絵の謎を調べる主人公は一つの答えにたどり着く。第2章は3年前に父親を亡くした少年が描いた絵で、第3章はある美術教師が山で惨殺されたところからから始まり、美術教師が死に際に残した落書きがポイントとなる。一見、関連がなさそうな3つの物語が一つに繋がっていく。

 「変な家」が映画化で話題になっていたので読んでみた。このシリーズは文字の大きさや行間などに加えメインストーリーが淡々と進むので、まだまだ読書初心者の筆者にとっては読みやすく、珍しく途中で飽きることがなく2、3日で読み終わった。物語の展開も早く、絵画の謎ももったいぶることなくどんどん解明していくところも好きなところ。アマゾンでも6000以上のレビューで評価4・7と高いのも納得の作品。読みやすい中でも伏線はしっかりしており、読み応えも十分。直接関連はないが、まずは「変な家」を読むことをおすすめ。「変な家2」という作品も出ているので次に読んでみたい。 (城)