今月8日に宮崎県で震度6弱、マグニチュード7・1の地震が発生した。この地震を受けて同日、「南海トラフ地震が発生する可能性が普段よりも高まった」として想定震源域に注意を呼びかける臨時情報が発表された。白浜町の白良浜海水浴場などでは地震津波を警戒して閉鎖、特急くろしおも運休となり、観光面に大きな影響が出た。しかし、発表から1週間が経過しも大地震は発生せず、15日に臨時情報は終了となった。
南海トラフ地震の発生メカニズムはフィリピン海プレートがユーラシアプレートの下にもぐり込む際、ユーラシアプレートの端を引き込むことにより歪みが生じ、極限に達するとプレートが元に戻ろうと跳ね上がることによって地震が発生する。プレートの歪みは時間の経過とともに大きくなるので、発生する確率は日を追うごとに高まることになる。臨時情報は終了したといえ、南海トラフ巨大地震が起きる確率は今後30年以内に70%から80%とされ、大規模地震はいつ起きてもおかしくない状態。
日本で発生する自然災害は地震だけではない。2011年の紀伊半島水害では台風に起因する豪雨が降り続き、県内では甚大な被害を受けた。日高地方でも土砂崩れなどが各所で起こり、尊い命も奪われた。
生命は自然から大きな恩恵は受けている。だが、一度、自然が牙をむくと大きな災害へとつながってしまう。昔から「自然の前では人間は無力」と言われ、科学技術が進歩した今もその考えは変わっていない。だから、自然災害から身を守るにはただ逃げること。そのためにはいつ起こるかも分からない災害に備え、常に逃げられる準備をしておくことが必要だ。(雄)