「海に眠るタイムカプセル 解き明かすのはあなたかもしれない」――文部科学省に採択された神戸大学のプロジェクト、「海洋文化遺産をめぐる海洋総合知創出プロジェクト」を紹介する同大学のホームページには、こう記されている◆「海洋文化遺産」とは、「文化的、歴史的、考古学的な性格を有する人類の存在のすべての痕跡」が少なくとも百年間水中にあったもの。プロジェクトの具体的な内容は、瀬戸内海の沿岸11府県と神戸市から各5人の市民メンバーを募り、市民中心で水中・海洋文化遺産に関する調査を実施。国民全体の海の知識への理解を目指す目的で行われる。締め切りは過ぎたが、和歌山県分はまだ集まっておらず、引き続き協力を呼びかけている。最終締め切りは今月31日となる◆海に囲まれた和歌山県。海にまつわる歴史的事象も数多い。1890年に串本沖で座礁、沈没したトルコ軍艦エルトゥールル号。友ヶ島の沖から引き揚げられた約100点の陶磁器類。今回は「人とうみ」に関わるあらゆる文化遺産が対象なので、海に関する伝承、湖のほとりにある神社なども含まれるという◆すべての生命の根源である海。人々の暮らしに密着していながら、測り知れない大いなる自然そのものでもある。そこに眠る文化遺産、「海のタイムカプセル」をひもとき、時を超えてよみがえらせる作業は、考えただけでも胸の躍るロマンを秘めている◆プロジェクトは9月から本格始動。調査する遺跡選び、その遺跡の魅力をどう引き出すかなど専門家からアドバイスを受けられる。11月には、帆船「みらいへ」に乗船、遣唐使がたどった航路を体験するという特典もある。潜水技術などは必要ない。詳しくは同プロジェクトのホームページを参照。(里)