日本救急医学会は31日、熱中症の重症度分類を見直し、重症の中でもさらに注意を要する「最重症群」を新たに加えたと発表した。深部体温が40度以上で重篤な意識障害がある場合をⅣ度とし、診療ガイドラインを同日までに改定した。熱中症による救急搬送者が相次ぐ中、医療者が患者の重症度を見極め、早期の治療につなげる狙いがある。
熱中症はこれまで、重症度ごとにⅠ度(めまい、立ちくらみなど)、Ⅱ度(頭痛、嘔吐(おうと)など)、Ⅲ度(意識障害など)に3分類されてきた。救急医学会は過去の論文や海外の重症度分類などを踏まえた上で、新たに最重症群としてⅣ度を追加。Ⅳ度と判断した場合は、患者を冷たい水のプールに入れるなど「アクティブ・クーリング」を含めた迅速な対応が必要だとした。
全国の救命救急センターを対象とした学会の調査では、表面体温が40度以上で意識障害がある患者でも、深部体温が測定されないケースが確認されている。アクティブ・クーリングの実施率は約63%、院内死亡率は37%だった。