ベルギー大使館で舞妃蓮が使われたフラワーアレンジメントをバックにダニエル氏㊧と阪本氏

 御坊生まれの舞妃蓮が来春、初めてベルギーに分根されることになった。世界的に活躍するベルギーの花の芸術家で2015年の秋の叙勲で旭日小綬章を受章したダニエル・オスト氏(69)が今月、フラワーアレンジメントのレッスンやレセプションで使った舞妃蓮をじかに見て、その美しさに感動。ベルギーで栽培するため、御坊市の関係者に蓮根の提供依頼があった。

 舞妃蓮は1966年、ハス博士と呼ばれた御坊市の故阪本祐二氏が、アメリカの黄花ハス「王子蓮」と日本の「大賀蓮」を交配して作り出した。現在、阪本氏の長男で、御坊舞妃蓮の会・和歌山大賀ハス保存会会長の尚生氏(69)=塩屋町北塩屋=が地元で舞妃蓮の栽培、普及活動を続けている。

 尚生氏は以前から親交がある公益社団法人園芸文化協会理事の奥峰子さんを通じて、今回、ダニエル氏が京都でのレッスン(今月11日)、ベルギー大使館でのレセプション(16日)で紹介するアレンジメントに使うため、舞妃蓮の提供依頼があった。尚生氏が京都でのレッスンに花や蕾、葉を届けたところ、ダニエル氏は実物を初めて見て気品漂う薄ピンクの花の美しさにほれ込んだという。東京でのレセプションには尚生氏も招待され、スモークツリーとともに生けられた舞妃蓮が紹介され、ベルギー大使から賛辞、ダニエル氏から尚生氏に対して「美しい花と出会えたことに感謝している」との言葉があり、ベルギーでの栽培のため蓮根の提供を依頼された。

 舞妃蓮は1974年、アメリカテキサス州の植物公園に分根され、海外への分根はベルギーで2カ国目となる。尚生氏は「ダニエル氏は穏やかで繊細、我々の感性とはまた違ったものを持っている。こういった方に認められた舞妃蓮は世界に通じると思う。これからも舞妃蓮の美しさを世界に届ける活動を続けたい」と話している。