
由良町衣奈の浄土真宗西教寺の本堂修復・耐震工事が完了した。壁や床など老朽箇所を一新したほか、基礎や柱、屋根に地震の揺れに強くする特殊な工法を採用するなど、構造計算された耐震性を持つ日高地方初のお寺に生まれ変わった。藤田眞雄住職は「耐震性を持つことで人命を守り、将来への不安も軽減したい」と話している。
本堂は明治に再建されて約140年が経過しており、雨漏りや床の傷みなど老朽化が進んでいたため、修繕に合わせて耐震工事も行った。
耐震工事は石の上に柱がのっていた基礎を鉄筋入りのコンクリートにし、柱はシロアリ被害があるものは取り替え、基礎との接続には地震で抜けることがないよう通常の6倍のアンカーボルトを打ち込んだ。壁は耐震性のない土壁から横揺れに強い構造用合板を使用し、天井裏には120本ほどのブレースを組み込んで補強。耐震性を上げるための構造物を本堂北側に新設し、中にはトイレを設置した。
このほか、屋根瓦の釘止め、各所に固定金具の設置、通常より太く丈夫な釘を使用するなどして耐震性を強化。耐震工事以外も多くの部分を修繕しているが、使用できる柱などの骨組みはそのまま残しているため、歴史ある同寺の風格は残したまま、強くきれいに生まれ変わった。本堂とともに行っている仏具の修繕も近く完了し、28日には入仏法要を行う。
藤田住職は「老朽化していたお寺がきれいになり、さらに耐震性を持ったことで避難所としても活用でき、地震被害を受けても修繕で対応できるようになった。協力していただいた多くの皆さまに感謝したい」と話している。
総事業費は約1億1000万円。設計監理は奈良県の木構造建築研究所 田原、施工管理は日高川町の株式会社駒場工務店、本尊・仏具修復は京都の若林佛具製作所、御坊市のお仏壇の阪本。