多くの小中高校で1学期の終業式が終わり、子どもたちにとっては楽しい夏休みが始まった。暑さをひとまず横においておけば、夏休みは解放感、高揚感で人の動きが1年で最も活発になり、行楽地はまさにかき入れ時。にぎわいはまた人を呼び、活気があふれるのはいいこと。ただ、気になるニュースも目にする。他府県の花火大会では人手不足のため毎年運行していた送迎バスの中止を余儀なくされたとか、飲食店が閉店したなど、働き手が確保できないことが経済活動に大きな影響を与えていることを身近に感じるようになってきた。

 コロナ禍が明け、インバウンド需要も右肩上がりでにぎわうのはうれしいが、実際に働いている人から悲鳴も聞こえる。観光地のホテルでは、客室清掃の仕事が人手不足によりチェックイン時間までに終わらせられないという声を聞いたことがある。このようなことは今後、年を追うごとに増えていくのは明らかだ。団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となるいわゆる2025年問題は、もう来年。2030年には生産年齢人口の不足が深刻化し、さまざまな業種で人手不足が顕著となるといわれている(2030年問題)。

 一方で、隙間時間にアルバイトできるアプリも開発されていて、人手不足解消の一助となっているという。旅行に行って、観光地で数時間をアルバイトに充てて代金の足しにして、行楽も楽しむという新しいスタイルも出てきている。この夏、旅行を考えている人は実践してみるのもいいかも。受け入れ側も旅行する側もイライラせず、人手不足だから仕方がないと、少しのことは大目に見る気持ちで楽しい夏を過ごしてもらいたいと願う。(片)