ソーラスフェンスの強化など県が設備改善することで日高港に外国貿易船の直接入港が可能に

 御坊市議会日高港振興対策特別委員会(向井孝行委員長)が12日開かれ、県から日高港の貿易円滑化の取り組みを聞いた。県土整備部港湾空港局の花田祥一局長は国の関係機関との協議で、税関検査場所の確保など一定の条件をクリアすれば、外国貿易船が同港に直接入港できることに合意を得たと報告。県が来年秋までに必要な整備を進め、運用を目指す。

 日高港の塩屋第1岸壁には外国船の安全を保障するSOLAS(ソーラス)条約に基づく保安フェンスが設置され、海外から木材などを輸入できる植物防疫港にも指定されているため、いまでも外国貿易船が入港することは可能。ただ、関税法上の「開港」にはなっていないため、外国貿易船が入港するためには税関がある和歌山下津港などを経由する必要があった。

 現在、日高港では木質バイオマス発電所の建設工事が進められ、来年9月の運転開始を計画。燃料は外国から年間約20万㌧の輸入を予定しており、港の貿易円滑化に向けて県、市、市議会などが国に開港を強く要望していた。

 県は先月、財務省関税局、大阪税関、和歌山税関支署と協議し、港での取り扱い貨物量の観点から現状での開港は難しいが、輸送の効率性や港の活性化を前向きに議論。塩屋第1岸壁を囲うソーラスフェンスの強化、警備員や税関の詰め所、監視カメラの設置など、港の設備を改善することを条件に外国貿易船が直接入港できるよう取り組んでいくことを確認した。これらの整備に必要な予算は基本的に県が来年度の当初予算に計上し、一部財務省とも調整。実際に外国貿易船が入港する場合は下津港から税関が出張する形を想定している。

 港の公共岸壁で不開港のまま外国貿易船が直接入港できる運用方法は全国的に例がなく、花田局長は「今回の取り組みはほぼ開港と同じ機能を持つ」と強調。将来的な周辺地域への企業誘致推進に向けた武器となり、今後、取扱貨物量の実績を積めば、本格的な開港も視野に入る。