
御坊市島、㋪塩路株式会社(塩路進代表取締役社長)は「紀州材 天然木の棺」を開発。8月1日から、美浜町のメモリアルウエストと湯浅町のセレモで取り扱いを開始する。
同社は来年で創立50周年、創業からは160周年を迎える老舗。屋号の㋪は初代塩路彦七氏の名からきているといわれる。日高川上流の山林を経営するとともに、御坊市内の不動産管理を業務とする。今回は「地元のものは地元で調達する」という理念のもと、天然の紀州材(杉)を使った棺を開発した。
国内で使われている棺桶の主流はベニヤ板に装飾した輸入品であることに着目。輸送時にCО2を排出、製作に使われている接着剤や化学薬品などを焼却する際にガスが発生するなど環境にいい製品とはいえないと考え、天然木の棺桶の開発に着手した。塩路社長自身、4年ほど前から身近な人を見送ることが続き、その際に棺桶に関する問題点を実感。林業の会社として「紀州材の良さを生かし、地産地消を進めたい」と開発を決意したという。
製作は尾崎家具装飾株式会社(本社=湯浅町)。接着剤をまったく使わずに組み上げている。江戸期の昔のものに近く、原点に帰った形。手触りがよく、天然木ならではの安らぎを感じる香り。紀州材を県内で加工、県内のみで販売することで、完全な地産地消となる。また、天然木の強さと輸送距離の短さを生かし、ラップ巻きのみの簡易包装を実現。杉板の持つ断熱性能と吸湿性によってドライアイス使用時の結露も抑制される。寸法は、外寸は長さ190㌢、幅54㌢、高さ40㌢。内寸は長さ186㌢、幅51・5㌢、高さ37㌢。近年の日本人の長身化に対応し、従来のLサイズを基準に設計している。県内のすべての火葬場で使用できるサイズ。
塩路社長(56)は、「カーボンニュートラル、不要な梱包材排除と、究極のSDGsを実現した棺となっています。今後は県内全域でお使いいただけるよう、拡販してまいります」と話している。