
26日開幕のパリ五輪で柔道日本男子を率いる鈴木桂治監督(44)が、白浜町の富田中学校で講演を行った。鈴木氏は「チャンスは誰かから与えられるものではなく、自分でつかみ取るもの。楽しいと思うことがあるのでそれを見つけてもらいたい」と生徒に語りかけた。
五輪本番まで1カ月を切る中、訪問。鈴木氏は、柔道を始めたきっかけや人に伝えることの大切さについて20分ほど講演した。生徒らは熱いまなざしを向けて聞き入った。
現役時代、2000年シドニー五輪は男子100㌔級で金メダルを獲得した井上康生氏の陰に隠れた。「あの時は、(五輪の)舞台で戦う準備ができていなかった。もし出場していたら絶対に1回戦で負けていたような大舞台だった」と振り返る。苦い経験を経て、その4年後のアテネ五輪で同100㌔超級を制した。
「どれだけ自分で思い描いても、やっぱり実際に肌で感じることには勝てない」。インターネットなどで簡単に情報を得られる時代だからこそ、自分自身で実際に経験することの大切さを説いた。
講演後には柔道部員と15分ほど打ち込みを行った。生徒は「金メダリストと打ち込みをすると思わなかったので緊張した。優しく指導してくれたので次からも頑張りたい」と笑顔で話した。