10年以上前だが、愛媛県の道後温泉へ遊びに行ったとき、道後温泉駅の目の前にSLが飾られ、駅も温泉街の街並みにマッチしていてすごくいい印象だったのを記憶している。まさにまちの玄関口、観光客をもてなす仕掛けがさまざまあり、旅行の醍醐味である非日常を味わえた。有名な観光地は人があふれて活気があり、人が人を呼ぶのだとあらためて感じた。

 一方で、地方では電車の利用客は年々減っており、日高地方の各駅では無人駅が圧倒的。まちの玄関口といってもなかなかもてなしのできる状況ではなく、存続や活用方法が課題の一つとなっている。印南駅は駅舎内に町シルバー人材センターがあり、待合所にはピアノや町のシンボルかえるのオブジェが置かれ、雰囲気がいいというだけでも利用者に与える印象はいい。有効活用のいい事例といえる。

 先日、日高町の紀伊内原駅舎の活用を考える懇談会が初めて開かれた。懇談会があると聞いて参加したという一般住民もいて、そういう思いを持っている町民がいるというだけで財産といえる。日高町には美しい産湯海水浴場があり、昨シーズンは1万7200人が訪れている。夏場だけでこれだけ人を呼び込めるのは大きな魅力。その人の流れを駅に向けるよう、人が集まる仕掛けができれば。

 懇談会はこれからも回数を重ねていくということなので、これからいろんなアイデアが出されるだろう。個人的にも楽しみだ。地域活性化でもそうだが、最後は誰がやるの、お金はどこから出るのという問題に突き当たることが多い。その部分も含めて同じ課題を持つ他の地域のモデルとなるような取り組みにればと期待する。(片)