由良町大引の白崎海洋公園のクラブハウスの壁画作業の第2期が完了し、廃墟だったハウスがアートに生まれ変わった。公園は2018年9月の台風被害でクラブハウスが壊れ、一時撤去が検討されたが厳しい財政事情から白紙となった。その後も荒廃が進み、展望台へ向かう観光客の目に触れるため対応が求められていた。

 そんな中、23年度から指定管理者となった共同企業体「白崎海洋公園スマイルプロジェクト」が、クラブハウスの再生に向けた壁画制作への取り組みを始めた。作品を手掛けるのは国内外で活躍するKAMIさんとSASUさんでつくるユニット「HITOTZUKI」。昨年夏には第1期として公園の入口に壁画を制作、2期目の今回はメインのクラブハウスに取り掛かり、高さ最大11㍍の巨大な作品に仕上がった。2人の作品はKAMIさんの描く曲線と、SASUさんのシンメトリが特徴。曲線は白崎の海の波や山並みを連想させるような形になっており、シンメトリでは花のような形に仕上げた。2人は「ゼロから1が生まれる様子、パワーを感じられるような作品にしたい」と話していた。完全な完成は8月の第3期となるが、クラブハウスの巨大な壁画はすでに十分な存在感を放っており、訪れた観光客も思わずカメラに収めている。

 白崎の岩は町民でも訪れるたびに見入ってしまう魅力があり、観光客も「日本にこんなところがあったなんて」と驚く声を聞く。今も展望台やキャンプ場など人気だが、強風など自然の影響を大きく受け新たな活用が難しい中、今回の壁画が公園の大きな魅力の一つとなり、町全体の活性化につながることを期待したい。(城)