映画「バカヤロー!私、怒ってます」(1988年公開)は、普段は大人しい主人公が客やパートナーから理不尽な言葉や行動でストレスを与えられ、積もり積もって最後に「バカヤロー」と爆発する痛快な内容だったと記憶している。中学生のころに見たが、主人公の怒りに共感、すがすがしい気分になったのを覚えている。お笑い芸人、ガンバレルーヤのよしこちゃんの「クソが!」にも似た、ほほえましいフレーズにも感じる。
政府は「異次元の少子化対策」の一環で来年4月から子どもが3人以上いる多子世帯の教育負担を軽減するため、国公立大学は4年間で244万円、私立大学は同306万円の授業料や入学金を免除する施策を打ち出した。保護者にとっては大きな負担軽減になるのはいうまでもない。ただ、筆者の場合、子どもが3人いるが、第1子はすでに社会人で扶養から抜けているため、実質は大学生と高校生の2人とカウントされ、対象にはならない。「バカヤロー!」と政府に叫んでやりたい気持ちでいっぱいだ。
厚労省の2022年の調査では、高校生以下の子どものいる世帯は991万世帯で、統計開始以降初めて1000万を割ったという。このうち子どもが3人以上いる世帯は12・7%にとどまる。政府の「異次元の」という言葉に踊らされているように感じるのは筆者だけだろうか。(片)