日本は世界一の長寿国であり、WHOの世界保健統計2023年版によると、日本人の平均寿命は84・3歳、健康寿命は74・1歳で、いずれも世界第1位となっている。健康寿命とは健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間。平均寿命より、健康寿命をいかに伸ばすかが大切だ。

 今年3月、野口に住んでいた筆者の義父が亡くなった。77歳、平均寿命からすればまだまだ早い。戦後の激動の時代を生き、酒、歌、祭り好きというまさに昭和のオヤジ。筆者が結婚した20代から、飲みに連れて行ってもらったり、カラオケを歌ったり。厳しい一面もあったが、明るく、楽しい酒の飲み方を教わった。そんな義父は年齢とともに視力や足腰が弱くなり、晩年は寝たきりに。亡くなる直前には家族の呼びかけにほとんど反応もなかったが、十八番だった北島三郎の「兄弟仁義」を筆者がスマホで聞かせてあげると、くわっと目を見開いて懐かしむような表情を浮かべていた。脳の活性化や心身の安定に音楽療法というのもあり、もっと早くから大好きな歌を聴かせてあげればよかったと後悔している。

 御坊市は新たに新型コロナウイルスやインフルエンザ、肺炎球菌感染症の3つのワクチン接種を無料化する。健康寿命を少しでも伸ばそうという思い切った施策で、一人でも多くの人が元気に長生きできるよう願っている。(吉)