どの業界にもいえることだが、人手不足が深刻だ。日高地方の事業所の人と話をしても、求人を出しても人が来てくれないという声をよく聞く。10年ほど前から聞いていた声だが、この傾向は今後ますます深刻になっていくだろう。各小学校に入学する児童の人数を見ればまだまだ少子化が続いていくのは明らかだ。労働力として外国人を積極的に受け入れるのもよくわかる。

 農業でも外国人が大きな戦力として日高地方でも活躍している。ただ、労働力不足と後継者不足は意味合いが違ってくる。雇用は主があってこそ。担い手がおらず農地が荒れ、耕作されていない遊休農地は増えるばかり。JAや町が農業をやりたい人とのマッチングなどに積極的に取り組んでおり、成果を上げているが、この先を考えると日本の農業はどうなってしまうのか不安は募るばかり。

 先日、日高町の小浦地区のほ場整備された田んぼで無農薬・無化学肥料の米を栽培する取り組みの第一歩を取材した。整備された田んぼの地権者に後継者はほとんどおらず、管理や栽培は町内の若手農業者でつくるアッセンブル日高が担っていく。非常にいい取り組みで、ほかのモデルになるだろう。若手農業者が中心となって高額な農機等を共同所有したり、手伝いをし合い、貴重な農地を守っていく取り組みが広まり、行政が支援していく仕組みができれば。(片)