昨年度、全国で過去最多の人的被害が出たクマだが、今年度になっても各地で被害が相次いでいる。日高地方でも日高町の民家近くで目撃情報が出ており、今後、人的被害も出ないか心配だ。

 クマの被害といえばテレビで見る軽自動車のフロントガラスを割る凶暴なクマが印象的。ただ、あのクマは日本では北海道にのみ生息するヒグマで体長は2・2~2・3㍍と大きく、体重も150~250㌔程度あるという。本州に生息するのはツキノワグマで、体長は1・1~1・5㍍、体重は80~120㌔とヒグマよりは小ぶり。凶暴性も気性が荒く人を襲うヒグマと異なり、ツキノワグマは臆病で基本的に人を襲うことはないとのことだが、突然人と出会って驚いた場合や子グマを連れている場合などはその限りでなく、人的被害も出ているのが現状だ。

 クマに気をつけるためにはそもそも出没するような場所に行かないことが大事だが、日高地方は山間地域が多く、またクマ自体、民家付近にまで現れるので、特に夜間などは注意が必要になる地域が多いだろう。前述の通りクマは臆病なので音で人がいることを知らせるのは有効とのことで、鈴やラジオなどで音を出しておくのがいいという。遭遇した場合は、大声を出して刺激するようなことはせず、背中を見せないようにそっと立ち去ることが大切で、持ち物をおいて気をそらしたりも有効とのことだが、実際にそんなことができるかは不安だ。

 クマに出会わないようにするのも大事だが、そもそも集落に寄せ付けないことが大切。生ゴミや放任果樹など食料となるものを放置しないことや草刈りで身を隠せる場所を減らすなど、地域での対策が必要だ。(城)