
JA紀州(芝光洋組合長)の梅の主力品種、南高梅の出荷が22日から始まった。今年はかつてない不作に加え、降雹(こうひょう)で傷ついた果実の増加、カメムシによる被害も多いため、「秀」「優」に次ぐ新たな「良」の箱詰め規格を設け、消費者の需要に対応する。梅農家からは「悪い状況がいくつも重なり、これまで経験したことがないほど厳しい」という声が聞かれる。
今年の暖冬で花の開花が早く、不完全花が多くなったことなどから、4月に行われた日高果樹技術者協議会の着果率調査では平年比の3割という結果だった。3月に降った雹でも大きな被害を受けたほか、果実を吸うカメムシの被害も多発しており、収量、品質ともに例年を下回ることが予想されている。
JA紀州の箱詰め出荷の品質規格は「秀」と「優」だけだったが、今年は特別に「良」を設けて傷ついた果実も箱入り出荷する。消費者の理解を得るため、JAグループ和歌山は味などには問題がないことをアピールするチラシを作成し、〝理由あり〟などとして産地の状況を説明。チラシは売場に張り出し、販売用に使用してもらう。
価格については例年を上回りそうで、すでに出荷が始まっている小梅はいつもの4割から5割増、古城(ごじろ)も5割から6割増で取り引きされている。集荷のピークは今月下旬から6月上旬、収穫は同月中旬まで続く。
梅栽培約30年のJA紀州みなべいなみ梅部会副部会長の石橋弘至さん(50)=東岩代=も収穫を始め、一粒ずつ丁寧に収穫。「今年は梅が少ない上、生育が早い。例年よりも収穫が早く終わりそうですが、梅は健康にもいいので、ぜひ季節の味を楽しんでください」とPRしていた。