今月3日に発生した台湾東部沖地震。日本からも「東日本大震災や能登半島地震での支援の恩返しに」などの声とともに支援が相次ぎ、あらためて日本と台湾のつながりを見直す機会ともなっています。今月のテーマは「台湾」とします。

 「台湾紀行」(司馬遼太郎、朝日文庫)

 「街道をゆく」シリーズの一冊。台湾という国の成り立ちをひもとき、日本との関係を解説しています。

   * * * 

 日本時代は、太平洋戦争の敗戦で台湾を放棄するまで五十年つづいた。私は日本人だからつい日本びいきになるが、余分な富力をもたない当時の日本が――植民地を是認するわけでないにせよ――力のかぎりのことをやったのは認めていい。国内と同様、帝国大学を設け、教育機関を設け、水利工事をおこし、鉄道と郵便の制度を設けた。

 戦後、台湾は中華民国になった。(略)

 その間、政治的不条理のなかで住民はよく働き、日本とならんで外貨準備高は世界のトップクラスというまでに高水準な経済社会を築いた。

 本来、「流民の国」だったものが、ここまでの社会をつくった例は、アメリカ合衆国の例以外、世界史にないのではないか。