「古道成寺」を踊る六世宗家の山村友五郎さん

 日高川町鐘巻の道成寺で31日、伝統芸能公演「桜・舞・道成寺」が開催され、町内外から訪れた約220人が日本舞踊や筝曲の演奏を楽しんだ。日本舞踊の山村流六世宗家の山村友五郎さんも出演し、道成寺の安珍清姫物語にちなんだ演目が披露された。境内の桜も満開、観客は日本の伝統に触れながら優雅なひとときを過ごしていた。

 道成寺を古典芸能の聖地として確立しようと、文化振興と地域活性化の推進を図っている「おいでよ! 日高実行委員会」(石倉忠明会長)が主催するイベント。開会で石倉会長が「桜が満開で、天候にも恵まれました。古典芸能の舞台を思う存分楽しんでください」とあいさつした。

 山村さんは、地唄舞の「古道成寺」と「新道成寺」を披露。山村流は江戸時代に大坂で生まれた日本舞踊で、京阪神で発展した「上方舞(かみがたまい)」を代表する流儀の一つ。「古道成寺」「新道成寺」は安珍清姫伝説にちなんだ演目で、蛇となって日高川を渡る様子などを踊りで表現した。唄、三絃、琴のお囃子に合わせ、扇子を手にしなやかな動きで客席を魅了。終了後には大きな拍手が上がった。

 鐘巻伝統芸能教室の小中学生14人もピンクのかわいい着物で登場し、昨年10月から14回にわたって練習を重ねた「花の道成(みちなり)」を発表。日高高校箏曲部のメンバー18人も「雪月花によせて」「GRADATION(風の彩り)」を演奏し、美しい音色が境内に響いた。