休日、いつもより少し遅い時間に郵便受けの朝刊を取りに行くと、近くの電線にとまった小鳥たちの声が聞こえる。いつものことだろうが、天気がよく気持ちがリラックスしているせいか、普段は気づかないことに意識が向く。

 電線やアパートの屋根に、スズメが何十羽も群れ、ピーチクパーチク、せわしなく鳴いている様子は、大阪のおばちゃんが集まってしゃべっているようでかわいい。

 先日、ごみを荒らすカラス対策として、カラスの鳴き声を活用して撃退に成功したというニュースが話題となった。カラスは小学4年生程度の学習能力があり、状況によって鳴き声のパターンがあるという。人や天敵の猛禽類が近づくと発するカラスの鳴き声をスピーカーから流し、「ここは危ない」と思わせることで、まったく近寄らなくなったそうだ。

 子どものころ読んだドラえもんに、それを食べると外国語が日本語に聞こえ、話す日本語が相手の言語に翻訳される未来の道具が登場した。現実にはその35年後の2016年、メガホン型の自動翻訳機が開発された。狡猾で不気味なカラスとは友達になりたくないが、無邪気なスズメと会話ができる道具が開発されれば、ぜひ買って試したい。

 「見てみ、あの人、またアホみたいな顔して新聞取りにきたわ」「日曜日ぐらい許したってよ」「見るたびどんどん頭薄なってるし」「あんたほんま口悪いな。聞こえるで」「聞こえてもうちらの言葉わかるかいな」「あれ? こっちに向かってなんかいうてるわ」「なんて?」「おはようございま~す! あなたはお元気ですか~」「あかん、やっぱりアホや…」。

 春爛漫、心静かに耳をすませてみれば、かわいい小鳥の毒舌漫才が聞こえるかも。(静)